胸トレの基本|大胸筋を鍛える種目と週2回のメニュー
GYMDONE 編集チーム

胸トレは、フラットプレス、ベンチの角度を約30度にしたインクラインプレス、腕を体の前で閉じるフライやクロスオーバーの3種類が基本です。1回のトレーニングでプレス系を2~3種目、フライ系を1種目行い、各2~4セット、回数は主に6~15回を目安に、週2回取り組みましょう。すべてのセットで目標回数の上限に達したら、重量を少し上げます。
この組み合わせは、設備の整ったジムでも、自宅でダンベル2個とベンチを使う場合でも、床しか使えない場合でも実践できます。腕立て伏せも、十分な負荷をかければ、準備運動にとどまらない立派な胸トレになります。
大胸筋はどんな働きをする?
胸の筋肉のうち、外から見える部分の大半を占めるのが大胸筋です。上腕を前方へ、そして体の前を横切るように動かす働きがあり、プレスやフライはこの動きを使って鍛えます。筋線維の向きは部位によって少し異なり、上部(鎖骨部)は鎖骨付近に、面積の大きい中部・下部は胸骨や肋骨に付着しています。その下には、肩甲骨を動かす小胸筋があります。また、プレス系の種目では、肩の前側と上腕三頭筋も使います。
ベンチの角度を変えると、どの部位がより働くかも変わります。トレーニング経験のある成人30人を対象とした研究では、大胸筋上部の筋活動は傾斜30度で、中部・下部はフラットベンチで最も高くなりました。一方、45度を超えると肩の前側の働きが大きくなり、大胸筋の筋活動は低下しました(Rodríguez-Ridaoほか、2020年)。そのため、フラットプレスと緩やかな角度のインクラインプレスを組み合わせれば、大胸筋全体を鍛えられます。傾斜をきつくすると、肩が主に働く種目になります。
動作別に選ぶ大胸筋の筋トレ種目
表の最初の2行から1種目ずつ選び、3行目から1種目を加えましょう。最後の2行は、セット数を増やしたいときや、自宅にベンチがない日に使えます。
| 動作 | ジム | ダンベル/自宅 | セット数 × 回数 |
|---|---|---|---|
| フラットプレス(大胸筋全体) | または | または | 3 × 6–10 |
| インクラインプレス(大胸筋上部) | 3 × 8–12 | ||
| フライ(負荷をかけて伸ばす) | または | 2–3 × 10–15 | |
| 大胸筋上部のフライ | 省略するか、インクラインプレスを1セット追加 | 2 × 12–15 | |
| 自重で行うプレス | 、、または | 2–3 × 8–20 |
バーベルとダンベルは、どちらでも大胸筋を鍛えられます。バーベルはより重い重量を扱え、少しずつ重量を増やせます。ダンベルは左右の腕を別々の軌道で動かせます。また、下ろしたときに胸をより大きく伸ばせて、人によっては肩への負担も抑えられます。1人でトレーニングするなら、ダンベルのほうが安全な選択です。途中で挙げられなくなっても、体の横に下ろせるからです。
腕立て伏せの効果は、意外と軽く見られがちです。5週間の研究では、トレーニング経験のある学生が背中にゴムバンドをかけ、6回が限界となる負荷で腕立て伏せを行ったところ、ベンチプレスを行ったグループとほぼ同程度にベンチプレスの筋力が向上しました(Calatayudほか、2015年)。大切なのは、セットの負荷です。楽にできる腕立て伏せを40回行うと主に持久力が鍛えられ、きつい腕立て伏せを10回行えば大胸筋を鍛えられます。
週2回の胸トレメニュー
2回のトレーニングは別の日に行い、少なくとも48時間空けましょう。上半身・下半身に分ける分割法なら上半身の日、プッシュ・プル・レッグス(PPL)法ならプッシュの日に組み込めます。また、週2回の背中トレとも組み合わせやすいメニューです。最初のプレス種目に入る前に、軽い有酸素運動を数分行い、軽い重量で2セット行いましょう(詳しくは筋トレ前のウォームアップをご覧ください)。セット間の休憩は、プレス系で約2分、フライ系で60~90秒が目安です。
- 胸トレA(ジム)3 × 6–83 × 8–102 × 12–152 × 8–12
- 胸トレB(ダンベル/自宅)3 × 8–123 × 8–102 × 12–152 × 10–20
- 器具なしの胸トレ3 × 8–153 × 10–202 × 15–20
目安は1回約40分です。大胸筋に十分な負荷をかけるセットが、1回あたり約10セット、週で20セットになる計算です。メタ分析では、平均すると、週あたりのセット数が多いほど筋肉の成長も大きいことが示されました(Schoenfeld・Ogborn・Krieger、2017年)。ただし、回復できる量には限りがあります。初心者は各種目2セットから始め、数週間かけて増やしていきましょう。適切な量については、部位ごとのトレーニング量で詳しく解説しています。自宅にバーベルがない場合は、インクラインプレスをダンベルで行うか、ダンベルの種目一覧から選びましょう。
重量や回数を伸ばしていく方法
まずは8~10回など、回数に幅を持たせます。すべてのセットで正しいフォームのまま10回できるまでは重量を変えず、達成したら、器具で調整できる最小の幅で重量を上げ、また8回から始めましょう。多くの場合、バーベルなら2.5 kg増やし、ダンベルなら1段階重いペアに替えます。これは「ダブルプログレッション」と呼ばれ、漸進性過負荷(プログレッシブオーバーロード)の最もシンプルな方法です。腕立て伏せは、まず回数を増やし、次に足を高くし、その後は下ろす動作に3秒かけるか、ゴムバンドで負荷を加えます。
すべてのセットについて、重量・回数・きつさを記録しましょう。最初の数か月を過ぎるとベンチプレスの記録の伸びはゆっくりになり、トレーニング記録をつけていないと、気づかないうちに何週間も同じ重量を繰り返しがちです。実際に最大重量を試さずに現在の実力を知りたい場合は、5~8回行ったセットから1RM(1回だけ挙げられる最大重量)を推定できます。
よくある間違い
- 肘を真横に開く。 肘を真横に張ると、肩に無理のかかる姿勢になります。肘と体の角度は約45~70度にし、バーやダンベルが胸の下部の真上に来るようにしましょう。
- バーを胸で弾ませる。 約2秒かけて下ろし、胸に軽く触れてから押し上げましょう。反動で押し上げると、下ろし切った位置での弱さをごまかしてしまいます。
- ベンチの角度を上げすぎる。 45度を超えると、ショルダープレスになってしまいます。30度で十分です。
- プレス種目ばかり行う。 胸ばかり鍛えてローイング種目を行わないと、肩が前に出やすくなります。プレスもローイングも週2回行いましょう。
- 補助なしで高重量のベンチプレスを行う。 ラックのセーフティーバーを使うか、誰かに補助を頼むか、最もきついセットではダンベルを使いましょう。
よくある質問
胸は週に何回鍛えればいいですか?
多くの人には週2回が合っています。週のセット数を2回に分けられ、間に2~3日の回復期間を取れます。
腕立て伏せだけで大胸筋は大きくなりますか?
はい。継続して負荷を上げれば、特にトレーニングを始めて1年目は大胸筋を大きくできます。正しいフォームで20~25回を超えてできるようになったら、デクラインプッシュアップやゆっくりした動作、ゴムバンドで負荷を上げる方法に切り替えるか、ダンベルを取り入れましょう。
大胸筋の内側や下部だけを狙えますか?
厳密にはできません。1つの筋肉の、ごく狭い範囲だけを単独で鍛えることはできないためです。フラットプレスは中部・下部の筋線維を鍛え、角度の低いインクラインプレスは上部への刺激を少し増やします。いわゆる「胸の内側」の見た目も、大胸筋全体が大きくなることで生まれます。
ベンチプレスで肩を痛めませんか?
多くの人は、適切なフォームで少しずつ重量を増やせば、安全に行えます。プレスで肩が痛む場合は、手のひらを向かい合わせて行うダンベルプレスか、フロアプレスを試してください。痛みが続く場合は、医師や理学療法士に相談しましょう。
参考文献
- Rodríguez-Ridao D, Antequera-Vique JA, Martín-Fuentes I, Muyor JM. ベンチプレスにおける5種類のベンチ傾斜角度が大胸筋・三角筋前部・上腕三頭筋の筋電活動に及ぼす影響. Int J Environ Res Public Health, 2020
- Calatayud J, Borreani S, Colado JC, Martin F, Tella V, Andersen LL. 筋活動を同程度にそろえたベンチプレスと腕立て伏せによる同様の筋力向上. J Strength Cond Res, 2015
- Schoenfeld BJ, Ogborn D, Krieger JW. 週あたりのレジスタンストレーニング量と筋量増加の用量反応関係:システマティックレビューとメタ分析. J Sports Sci, 2017